20 銀河鉄道の夜

■あらすじ
  ジョバンニは、学校で銀河のことを習いました。その日は、ケンタウルの星祭りの日でした。ジョバンニは活版所でのアルバイトを終えて家に帰り、病気の母のために牛乳を取りに行くついでにお祭りを見ようと出かけました。でも、道すがら同級生にからかわれたので黒い丘の方へ駈けていくと、そこに天気輪の柱が現れ、気が付くとジョバンニは銀河鉄道の客車に乗っていました。向かいの席には親友のカンパネルラが座っていました。
 そして二人は、不思議な乗客たちと出会いながら銀河鉄道の旅を続けました。
 サウザンクロスの駅で乗客たちが降りてしまい、窓の外に石炭袋の闇が見えたとき、カンパネルラもまた姿を消してしまいます。
 ジョバンニが夢から覚めて丘から川へ下っていくと、そこでは、カンパネルラが川に飲まれて見えなくなっていてたくさんの人が捜索しているのでした。そこで、カンパネルラのお父さんから、自分の父が北の漁からもうすぐ帰ってくると知らされ、ジョバンニは思わず家に向かって駈けだしたのでした。

■みどころ
 賢治の童話作品の中では比較的長編の作品であり、初稿を書いてから晩年まで何年もかけて推敲に推敲を繰り返していった賢治の分身とでもいえるような思いのこもった作品です。夜空を駆け抜ける銀河鉄道のロマンチックな風景と、人間社会の影の部分を感じさせるミステリアスな登場人物たちが相まって、読む人の心をつかんで離しません。そして、宝石のようにちりばめられた、美しい情景描写が、一緒に銀河を旅しているような気分にさせてくれます。何度読んでも新しい発見に出会える深遠な作品です。

■合唱劇「銀河鉄道の夜」作曲:吉川和夫
 上演:合唱団じゃがいも(第34回定期演奏会 2008.1.27仙台市青年文化センター、第38回定期演奏会 東京都葛飾区かめありリリオホール《改訂版》) 上演時間2時間を超える大作ですが、銀河鉄道でジョバンニとカンパネルラの前に現れるエピソードを割愛することなく歌で繋ぐことで、銀河鉄道の臨場感にあふれる合唱劇になっています。