
■あらすじ
猫の第六事務所は、猫の歴史と地理を調べるところ 。そこにはクロネコの事務長と白猫、虎猫、三毛猫、かま猫の4人の書記が勤めていました。かま猫は、寒がりで夜はかまどの中に入って眠る癖があるために付いた名前でした。かまどのススで汚れていて他の猫に嫌われていました。虎猫が弁当を机の前に落としたときにかま猫が拾おうとして口論になったり、三毛猫が落とした筆を拾おうとしてひっくり返ったときもかま猫に因縁を付けたり、かま猫が風で休んだとき「かま猫は宴会に呼ばれていった」と虎猫たちが事務長に告げ口をしたり、かま猫に対する同僚猫のいじめはひどいものでした。かま猫が風が治って事務所に復帰した日も、同僚の猫たちは、かま猫を無視して忙しそうにかま猫の原簿を取り上げて仕事をしていました。そこに、突然、窓から獅子が現れて、「えい。解散を銘ずる!」と宣言して、事務所は廃止になりました。
■みどころ
「ある小さな官衙に関する幻想」と賢治がサブタイトルを付けていることから、当時のお役所を皮肉る意図も垣間見えます。当時、「軽便鉄道の停車場の近くに」あった稗貫郡役所が、行政改革の一環で1926年に廃止されたことがお話の下になっていると見られます。廃止を決定した当時の内務大臣が浜口雄幸(後の総理大臣)で、ライオン宰相と呼ばれていたことも繫がってきます。
■オペラ「猫の事務所」作曲:萩京子
上演:合唱団じゃがいも(第26回定期演奏会 1999.11.13山形市民会館大ホール)
六匹の猫役のコミカルな演技と歌でお話は進行しますが、後方の合唱団や最後の獅子役の子どもたち。の登場でさらに盛り上がります。